若井史博 NIMS特別研究員(セラミックス基複合材料グループ)が、「セラミックス超塑性と焼結の高温変形理論」に対し、粉体粉末冶金協会から研究功績賞を授与されました。
セラミックス超塑性と焼結の高温変形理論
若井氏は、ジルコニアの超塑性を世界で最初に発見するとともに、これが結晶粒微細化により窒化ケイ素等多様なセラミックスでも発現する普遍的な性質であることを実証し、超塑性を利用したセラミックスの成形加工技術への応用に向けた新研究領域を創出しました。さらに、焼結を高温変形として捉え、巨視的な緻密化の熱力学的駆動力と異方性、その背後にある粒子スケールでの動力学を提唱し、近年の焼結理論の革新を先導しました。
氏の業績の特徴はセラミックスの高温変形の新しい機構として超塑性を提唱するとともに、焼結そのものを高温変形と捉える理論を構築したことにあります。特に焼結の熱力学的駆動力の起源を徹底的に追求し、平衡熱力学、非平衡プロセスの動力学において、駆動力を厳密に定義し、粒界拡散による焼結機構に加え、ガラスの粘性焼結、表面拡散、体拡散、蒸発−凝縮機構にまでその概念を拡張しました。
授賞式は2024年5月21日、東京工業大学すずかけ台キャンパスにて行われました。
若井史博 特別研究員