研究成果

2022年度TOP成果

普及率が高いレーザ3DプリンタでNi単結晶の造形に成功

北嶋 具教

構造材料研究センター 材料創製分野
積層材料グループ 主幹研究員
北嶋きたしま 具教とものり

レーザを金属粉末に照射する3Dプリンタで、種結晶を使用せずに、世界で初めて単結晶の造形に成功しました。従来のレーザ方式の造形では、溶融領域の結晶方位が連続的に傾斜し、結晶中に大角粒界が不可避的に形成するという課題がありました。本研究では強度分布が均一なフラットトップレーザを照射して、プロセス条件を最適化することで、溶融領域を平坦化し、結晶成長を一方向に制御しました。これにより、大角粒界(面欠陥)の形成が抑制され、結晶方位が揃った単結晶の造形を実現しました。レーザ方式の装置は、電子ビーム方式の装置に比べて、安価で運用コストが安く、普及率が高いという特徴があります。単結晶で製造できる飛行機エンジンやガスタービンの耐熱部品の適用範囲が拡大するとともに、他の金属の単結晶材への応用が期待されます。
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普及率が高いレーザ3DプリンタでNi単結晶の造形に成功

 

北嶋さんへQ&A

Q:この成果のポイントを教えてください?
A:フラットトップレーザを使って造形の条件を整えることで、熱が深さ方向に均一に伝わり、結晶が溶けて固まるときに伸びる方向が揃い、ひずみと欠陥の生成を抑えられて、結晶の方向を揃えることができました

Q:多結晶ではなく単結晶?単結晶を作る目的は何ですか?
A:単結晶は多結晶よりも高温強度が高いため、飛行機エンジンの耐熱部品に単結晶を使うことで耐熱性を上げることができます。この単結晶を3Dプリンタで造形できるようになれば、単結晶を様々な部位の色々な形の部品に使えるようになります。

Q:研究活動の中でどういう時にわくわくしますか?
A:誰もやったことがない研究について独自のアイデアで構想を練ることが好きですが、予想とは違う結果が出てきたとき、「絶対に何かある!」と考えて、ワクワクします(笑)。

Q:若い時の夢は何でしたか?
A:高校まではチャンスがあればプロサッカー選手になりたいと本気で思っていました(笑)。今となっては面白おかしいですが。一方で、飛行機の製造に関係する仕事につきたいとも考えていました。その後、飛行機材料に興味を持ち、飛行機材料の研究者になることができました。サッカーのプレーで大事な「自由な発想」は今の研究につながっているかもしれません(笑)

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