高強度鋼の粒界破壊機構をマルチスケール3次元解析で解明
譯田さんへQ&A
Q:悪いイメージがある「欠陥」が材料の強さを向上させるって?
A:金属材料の大きな変形は非常に小さな線状の欠陥がたくさん動くことで起きます。この欠陥の運動が他の欠陥によって邪魔されることで金属材料は変形しにくくなります。これが欠陥によって金属材料がより強くなる仕組みです。
Q:欠陥とは目に見えるものなのですか?
A:大きなき裂のような欠陥は見えることがありますが、金属を強くする小さな欠陥は見えないです。このような欠陥には様々な種類があり、一番小さいものは原子スケールです。特殊な観察装置を使うと見ることができるものもあります。
Q:この成果のポイントは?
A:ナノスケール領域での材料の強さを調べられる実験装置と、その領域を見ることができる観察装置、そして原子スケールのシミュレーションを組み合わせることで、金属の強さの起源を調べたことにあります。これらの方法がお互いを補いあい、金属の強さの起源に関する誰も知らなかった情報を教えてくれました。
Q:研究活動の中でどういう時にわくわくしますか?
A:予想しない新しい結果が得られたとき、新しいアィディアを思いついたときです。思いついたアィディアの中で実際に実現できるものは少ないですが、アィディアを考えること自体が楽しいです。あとは新しいシミュレーション手法に取り組むときです。