RCSMについて

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鉄鋼材料グループ
Steel Research Group

メンバー

柴田 曉伸(鉄鋼材料グループ)

柴田 曉伸 SHIBATA Akinobu
構造材料研究センター 材料評価分野
鉄鋼材料グループ 上席グループリーダー
ボタン-筑波大学NIMS連携大学院

鉄鋼材料,マルテンサイト,ミクロ組織,水素脆性
最新成果

グティエレス ウルティア イヴァン(鉄鋼材料グループ)

グティエレス ウルティア イヴァン
GUTIERREZ URRUTIA Ivan

構造材料研究センター 材料評価分野
鉄鋼材料グループ 主幹研究員

SEM, ECCI, t-EBSD, t-FSEI, in-situ SEM, 3D-Materials Sience, 3D-EBSD, 3D-labDCT, plasticity, crystal defects, mechanical behavior, high-strength steels, low-density steels

小川 祐平(鉄鋼材料グループ)

小川 祐平 OGAWA Yuhei
構造材料研究センター 材料評価分野
鉄鋼材料グループ 研究員

鉄鋼材料,オーステナイト,水素脆化,強度・延性バランス,元素戦略

岡田 和歩(鉄鋼材料グループ)

岡田 和歩 OKADA Kazuho
構造材料研究センター 材料評価分野
鉄鋼材料グループ 研究員

鉄鋼材料,水素脆性破壊,転位,粒界偏析,不均一変形挙動,疲労破壊
若手メンバー紹介

 

研究概要

鋼材料は構造用材料として最も重要な材料です。鉄鋼材料研究の歴史は古いですが、鉄鋼材料科学の発展は安心・安全で持続可能な社会基盤の構築に不可欠です。鉄鋼材料の重要性は今も全く変わっておらず、むしろ増加していると言っても過言ではありません。近年、二酸化炭素排出量削減などの観点から、燃費向上を目的とした輸送機器の車体重量軽量化が急務な状況となっており、鉄鋼材料の高強度化に対するニーズが高まっています。また、資源枯渇化問題も鉄鋼材料の重要課題であり、レアメタルのうち、クロム、モリブデン、ニオブ、バナジウムなどは国内総消費量の大半が鉄鋼産業において消費されています。そのため、合金元素添加に頼らず、ミクロ組織制御によって鉄鋼材料の高強度化や耐脆性破壊特性の向上を実現していくことが非常に重要です。本グループでは、鉄鋼材料を主な研究対象とし、最先端ミクロ組織観察技術を用いた組織学的・結晶学的キャラクタリゼーションなどによって、高強度・高延性・高破壊特性を実現した鉄鋼材料を開発するための合金設計指針・ミクロ組織設計指針を理論的な背景から提案することを目指しています。

専門分野・研究対象

相変態によるミクロ組織形成
鉄鋼材料は種々の相変態が生じ、それぞれの変態生成物の力学特性が異なるため、幅広い強度レベルをカバーすることができます。しかし、相変態メカニズムの理解は必ずしも十分であるとは言えません。相変態によるミクロ組織形成を正確に把握することができれば、鉄鋼材料の力学特性をさらに向上させることが可能となります。本グループでは、高強度の源であるマルテンサイト変態や新しいメタラジーの一つとして注目されている動的フェライト変態などを研究対象とし、電子顕微鏡や3次元アトムプローブによるミクロ組織・ナノスケール元素分配の解析に加えて、SPring-8やJ-PARCなどの大型研究施設を利用した格子欠陥構造解析によって、相変態によるミクロ組織形成メカニズムの解明を目指しています。

変形・破壊挙動
一般的に強度と延性はトレードオフの関係にあり、材料の強度が高くなるほど延性が低下してしまいます。強度と延性を兼ね備えた新規鉄鋼材料を設計していくためには、塑性変形挙動の詳細を明らかにしていく必要があります。本グループでは電子顕微鏡解析 / 画像相関解析 / 放射光・中性子線解析などを用いたマルチスケール解析によって、塑性変形挙動とマクロ力学特性の定量相関を解明していくための基礎研究を行っています。
また、高強度鉄鋼材料を実用化していく上で大きな問題となるのが低温脆性や水素脆性などの脆性破壊です。脆性破壊現象は、材料の強度が上昇するにつれてその発生頻度が高くなることが知られており、かつ重大事故に繋がる危険性を含んでいるため、その発生を抑制するためのミクロ組織設計・合金設計が不可欠であると言えます。本グループでは脆性破壊におけるクラック発生・伝播過程とミクロ組織の相関を電子顕微鏡や有限要素シミュレーションなどを用いて解析し、脆性破壊メカニズムの解明や、脆性破壊を抑制するための新たなミクロ組織設計・合金設計概念の確立を目指して研究を行っています。

図1_Steel Research Group

 

鉄鋼信頼性評価拠点 (NIMS)  ※水素脆化と疲労破壊の解析・評価について
2013年10⽉に発足した新構造材料技術研究組合 (ISMA) は、2023年2月末を以て10年に及ぶ革新的新構造材料等研究開発プロジェクトを終了しました。これにあたり、集積してきた研究開発データ等を散逸させることなく、ISMA解散後も研究活動で活かしていただくための仕組みづくりが重要です。この活動では、とくに複数企業による共有・相互利用が望ましい共通基盤的な技術やデータ、データ構造を集約して提供し、規格化・国際標準化に向けた戦略的な検討や人材育成を行っていくための体制整備を推進しています。
ISMAで活動した8拠点の一つである「鉄鋼信頼性評価拠点 (NIMS) 」においては、2GPa級超々ハイテン時代と低炭素化社会を見据え、 『マルテンサイト鋼の時間依存型損傷 (水素脆化 ; 疲労破壊) 』 に注目して、 NIMS・構造材料研究センター・鉄鋼材料グループを活動中心として、疲労特性グループと連携をとりながら、拠点構築を行っています。
2021年と2022年における研究環境整備では、き裂進展の3次元観察を可能とするラボ用のX線CT装置に加えて、疲労き裂進展追跡装置 (下図) をNIMS内に導入し、研究開発に活用しています。
国内の各研究機関との連携については、2022年7月に本課題として採択された文科省データ創出・活用型プロジェクト「極限環境対応構造材料研究拠点 (東北大学RISME拠点) (https://risme.org/(別ウィンドウで開きます)) を核として、産業界も含めた連携活動を推進しています。(本拠点活動についての問い合わせ先 : 津﨑兼彰; TSUZAKI.Kaneaki=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください) )

図2_Steel Research Group

 

開催案内 2024年度後期分

「NEDO特別講座 - マルチマテリアル構造技術 - 」
鉄鋼材料評価拠点 : 金属疲労テーマ 
—金属疲労の理解を深める微小疲労亀裂の観察と力学評価—

1. はじめに

金属疲労はミクロな疲労亀裂の発生と成長によって起こる。このため、ミクロな疲労亀裂の観察や破壊力学的な評価によって、ミクロ組織と疲労特性の関係のような、金属疲労の科学的背景の理解が格段に深まる。ところが、その観察と評価方法の両面で、ミクロな疲労亀裂特有の難しさがある。例えば、ミクロな疲労亀裂は、力学条件が同じであっても、マクロな疲労亀裂の特性に比べて亀裂進展速度が速いことが知られている。
本講座では、まず、金属疲労の基礎と微小疲労き裂の特徴に関する講義を行う。その後、実習として、通常の疲労試験とNIMSが開発した自動顕微鏡システムによるミクロな疲労き裂の発生・進展挙動の観察を行い、これらの疲労データを破壊力学により評価する。また、併せてNIMSの様々な最新設備の見学を行う。
破壊力学により疲労寿命を算出する基礎的なプロセスを理解すること、また、ミクロな疲労破壊挙動の観察と評価を通して、疲労破壊のメカニズムや微小疲労き裂の特異性と評価のポイントを理解することを目指す。

2. タイムスケジュール

09:00-09:45 座学 金属疲労の基礎
09:45-10:30 座学 微小疲労亀裂の観察と評価
10:30-11:00 実習 一般的な疲労試験
11:00-12:00 実習 微小疲労亀裂の観察試験
12:00-13:00 昼食 (各自)
13:00-14:00 NIMS 設備見学
14:00-14:30 演習の進め方の説明
14:30-15:30 微小疲労亀裂データの評価 (Image Jを使った画像データの処理等)
15:30-17:00 微小疲労亀裂データの評価 (Excelを用いた破壊力学による寿命計算等)

3. 開催要領

【日付】2025年2月中旬で調整中 
【集合場所】物質・材料研究機構 (千現) , 先進構造材料実験棟2階 213セミナー室
【定員】5名 (先着順)
【参加費】無料 (交通費は参加者負担)
【問合わせ先】
 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 西川嗣彬
 Tel: 029-859-2796
 E-mail: NISHIKAWA.Hideaki=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)
 参考URL: https://samurai.nims.go.jp/profiles/nishikawa_hideaki?locale=ja(別ウィンドウで開きます)
 ※ 申し込みはメールにてお願いをいたします。

 

開催案内 2024年度後期分

「NEDO特別講座 - マルチマテリアル構造技術 - 」
鉄鋼信頼性評価拠点 : 水素脆化テーマ 
—高強度鋼における水素脆化のメカニズム理解と評価法習得—

1. はじめに

水素脆性とは材料中に水素が侵入することによって,材料が著しく脆化する現象である.環境負荷・省資源対策の観点から,輸送機器の燃費向上を目的とした車体重量軽量化が急務な状況となっており,引張強度1.5GPaを超える新規高強度鋼の開発が世界中で盛んに行われている.しかし新規高強度鋼を幅広く社会実装していくことは簡単ではなく,水素脆性という大きな問題がある.従来の強度レベルの材料では,特に厳しい水素環境下で使用される材料が主な研究対象であった.しかし,強度が上昇するにつれて水素脆性が発生する水素濃度が低下していき,引張強度1.5 GPaを超える材料では,通常の大気環境下に近い状態でも水素脆性が発現する危険性が高まる.そのため,新規高強度鋼を広く社会実装していくためには,水素脆性を克服する材料設計が非常に重要である.
本講座では,高強度鋼における水素脆化の事例とそれぞれに異なる破壊メカニズムとともに,材料を安全に使用するための対策について学ぶ.実習では,講義での理解をもとに,高強度鋼を対象とした評価法を学ぶ.また,併せてNIMSの様々な最新設備の見学を行う.

2. タイムスケジュール

9:30-10:30 座学 水素脆性の基礎・演習の進め方
10:30-11:30 実習 試験片の水素チャージ
11:30-12:30 昼食(各自)
12:30-13:30 NIMS設備見学
13:30-14:30 実習 昇温脱離測定
14:30-15:30 実習 低ひずみ速度引張試験

3. 開催要領

【開催日】2025年2月中旬で調整中
【集合場所】物質・材料研究機構 (千現) , 先進構造材料実験棟2階 213セミナー室
【定員】5名 (先着順)
【参加費】無料 (交通費は参加者負担)
【問合わせ先・申し込み先】
 物質・材料研究機構 構造材料研究センター 柴田曉伸
 Tel: 029-859-2074
 E-mail: SHIBATA.Akinobu=nims.go.jp ([ = ] を [ @ ] にしてください)

※ 申し込みはメールにてお願いをいたします。

 

Outline

Steels are the most important structural metallic materials and development of steel science should be necessary for achieving safe, secure, and sustainable social infrastructures. Due to the recent economic and environmental viewpoints, developing high strength steels are being desired more and more. The exhausting natural resources is also an important issue in steel industry. Most of the total domestic consumption of rare metals, such as, chromium, molybdenum, niobium, vanadium, is occupied by steel industry. Accordingly, it is necessary to achieve advanced strengths with high strength / high fracture resistance not by simple addition of alloying elements but by microstructural control. Through precise microstructural and crystallographic characterizations, our group investigates phase transformation and deformation / fracture behaviors of steels. Based on such the fundamental research, we try to propose novel alloy design and microstructure design concepts for developing advanced steels from theoretical background.

Specialized Research Field

Microstructure evolution through phase transformation
Because each of the transformation products in steels exhibit different mechanical properties, steels can cover wide range of strength level by controlling its phase transformation. The deep understanding of microstructure evolution via phase transformation enables us to improve mechanical properties of steels. We are studying fundamental aspects of phase transformations in steels, such as martensitic transformation, dynamic ferrite transformation, etc., through various state-of-the-art analytical tools, i.e., scanning / transmission electron microscopy, 3D atom probe, synchrotron radiation X-ray diffraction (SPring-8), and neutron diffraction (J-PARC).

Deformation and fracture behaviors
In general, strength and ductility are trade-off relationship. In order to achieve metallic materials managing both high strength and large ductility, it is necessary to adequately control plastic deformation behaviors. Our group is conducting fundamental research to quantitatively understand relationship between plastic deformation behaviors and macroscopic mechanical properties by multi-scale analysis using scanning / transmission electron microscopy, digital image correlation technique, and synchrotron radiation X-ray / neutron diffraction.
Because susceptibility to brittle fracture increases with an increase in strength level of materials, one of the most serious issues for practical applications of high strength steels is brittle fracture (low temperature embrittlement, hydrogen embrittlement, and so on). Our group is studying crack initiation and propagation behaviors by scanning / transmission electron microscopy analysis, and trying to correlate them with macroscopic fracture toughness properties by utilizing finite element simulation. The goals of our group are to elucidate the mechanism of brittle fracture and to propose novel alloy design and microstructure design concepts for developing advanced steels with high fracture resistance from theoretical background.

図1_Steel Research Group

 

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